忍者ブログ
夫婦の日常と こころの中のこと
[240]  [239]  [238]  [237]  [236]  [235]  [234]  [233]  [232]  [231]  [230
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

階下に下りて、検分の続きをする。

まず台所。
カウンターの木部の継ぎ目に凹凸があることを指摘。これは純粋なる大工仕事の不手際で、大工さんが恐縮しておった。大工さんにはよくしてもらっているし、難しい家を根気良く作ってくれたことに感謝しているゆえ、俺はかえって申し訳ないくらいであった。
システムキッチンのL字に曲がっているところの処理が甘いのも指摘しておいた。
キッチンセットとカップボードの色は、見本で見た段階では派手な色合いに感じたが、実際見るとちょうど良かった。明るい木目の色にしたのは俺の趣味だったが、カラフルなものよりも飽きが来なくていいだろう。
対面式のキッチンで、これで妻はひっそりと一人で家事をすることがなくなる。家族と会話を楽しみながら、料理をしたり片づけをしたりできるわけである。
妻はそれを一番楽しみにしているといってもよい。カウンター越しに手の届くこと、俺も都合がいい。

便所、風呂場と脱衣場。ここでも問題発生。
便所と脱衣場の床はクッションフロアとなっていたのに、フローリングである。脱衣場の天井も板張り。話と違う。
脱衣場の板張り天井は、温泉みたいで、その方がいいのだが。変えるなら変えるで、言ってほしい。
「すみません、ミスでして」と監督が言う。俺はムカッとした。
営業担当者が代わって、クッションフロアは結構傷みが来て早いうちに張替え必要になることがあるのだ、と教えてくれた。水周りであるが、フロア張りの劣化は心配ないのだとか。
信用していいのか悩むところだが、雰囲気のいいのは板張りの方ゆえ、我慢した。
脱衣場のクローゼットの中に、大工さんが好意で、棚を切ってくれてあった。本当にこの大工さんには世話になることだ、と感謝することである。
風呂場は既製品ゆえ問題などない。ドーム型の天井にしたことで広々として見えた。マンションの浴槽とはずっと広いゆえ、3人で入っても(娘の小さい間は)くつろげるだろうと思う。

それから、家事室。洗濯機置き場となる。ここにも大工さんの好意で小さな収納が作られてある。買い置きの洗剤などをストックしておいてください、とのことである。ありがたし。
ここで、俺は大変なことを発見した。
家事室につながって、食品庫というのか、納屋のようなものがある。そこで俺は沢庵を作るつもりなのだが。
もとい。その扉がまたまた仕様と違っていた。居室用の大きな扉がついているのだった。
それを指摘した。誰も気づいていないようだった。また重大性にも気づいていないようだった。
重大性とは、こんなでかい扉があったら洗濯機を置けないということ、である。
説明しても監督は「はあ・・・」とわかりが悪い。
巻尺を分捕って、洗濯機スペースの尺を測って見せてやった。
「こんな小さい洗濯機ありますか?」と。
ぐずぐずしている監督に、俺はイラついた。
「洗濯機置けても、ドアの開閉できませんね?」と、念押しをした。
先に大工さんが「すみません」と言いかけた.。それまで数々のミスを飲み込んでいた俺は完全に切れた。

大工さんはいいのだ。監督が問題なのだ。
今までの工事の遅れは、造りの複雑さもあるだろうが多くは、材料の手配がうまくいっていなかったからなのだ。おまけに、現場で監督に会ったこともない。毎日のように工事を眺めに行っていた妻でさえ、監督に会ったことはほとんどない。会ったとしても、短い時間しか現場におらんかったと聞いていた。
沢山の現場を抱えていたのかもしれないが・・・それを差し引いても、名前だけの現場監督である。仕事ができていない。

建築会社の人間たちは、俺の家庭では妻が実権を握っているもの、と思っていたのかもしれない。俺は金だけ出す人だとでも思っていたのかもしれん。
先ほどまでの彼らの態度も、気位の高い俺をイラつかせていたのだ。短気な俺にいつまでも我慢させられるわけがないのだ。
「よきにはからえ」の人だと思いこんでいた相手が、吼えだしたゆえ、余計におっかなかったのかもしれん。

監督と営業と設計士がかわるがわる謝ったが、俺は気が治まらん。
彼らの「ミス・・・」と言いかける様子が、火に油を注ぐ。
「ミス」という言葉を水戸黄門の印籠だとでも思っているのか。「ミス」で済んだら、こんなに楽なことはない。
「ありえないミス」だとか言うが、あったんだから。何をかいわんや、である。
「至急やり直します」というが、当たり前だ。

俺が監督の仕事ぶりを評価するのも僭越かもしれないが、この際ゆえ言った。思ったとおり言うのはさすがに手厳しすぎるかと思ったので、ソフトな物言いに努めたつもりだ。
批判を一身に受ける形になってしまった監督はうつむいてしまった。涙ぐんでいた。

まったく・・・男の涙は見苦しい、と知らんのか。美しい男の涙は高校球児の涙だけなんだよー。
俺は職場で泣くやつは嫌いなのだ、それも客の前で泣いてどうする。泣かれた客の身にもなりたまえ、である。
情に訴えかけるつもりか?、とすら感じる。
甘えるんじゃねーよ。

「いったいいくつミスがあったと思うのです?」
「しっかりメモは取りましたか?」
「安くない金額の長いローンをこれから払うのですから、気持ちよくしたいものですね」
営業と設計士と、世話になった大工さんの手前もあり、そこまでにしておいた。なにより娘が「オトーチャン、オコラントイテヤー!」と言い、妻も無言になってしまったから。

「どうも、申し訳ありませんでしたー!」と建築会社の面々に見送られた。
歩きがてらに、妻から「先生、怖かったよ?泣いてたやんかー」と責められた。
不手際の業者に優しくする必要などないではないか。俺は誰にでも優しいわけでも、「よきにはからえ」の人でもないのだ。
優しいのは妻に対してだけ、ということで♪


夕方、現場監督が上司と共に、改めての謝罪に訪れた。
「大変お怒りのことと思いますが・・・」と言われたところでねー。その時には、ちゃんとしてくれればいいよ、と気持ちも和らいでいた。
だが、「ミスが重なりまして・・・」と言い始めたのに至って、再燃。
俺はミスなど許されない環境で働いている。ミスがひとつでアウトだ。重なるとは何だ。
「ミスミスって・・・気楽な稼業ですなー」とぽろりと出た。刺すような厭味。
さすがに上司氏は老獪で、場が凍りつくことはなかったが。妻が凍り付いておったわい。


それにしても、友達が住宅関係の業者とやり合った話など聞いてはおったが、俺にも同じようなことが降りかかったか、と感慨深い。がんがん言いまくったあたりも似ており、苦笑することしきりであった。
俺の、血と涙と汗に塗れて掴み取った、怨念と呪詛と儚い希望のこもった金を、大量に取ろうというのだから、これくらいのことは言ってもいいのではないかと思われる。
如何?
PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
無題
どうして高額なモノを請け負っていてそんなにミスがあるのでしょうね。
TV「ビフォーアフター」も大好き、物件のちらしも眺めすかして、ここは私の部屋、ここらに犬のトイレ・・などと空想しています。ただの趣味でね・・
現場監督は大変なことは大変ですけどね、弟はK島のそれです。
はるさん宅も想像してますが、すごいじゃないですか・・廊下も。
今住んでいる家は亭主と前奥が色々考えて建てたようですが、ドアとドアがぶつかるようになっていたり、変な所いっぱいです。そのドアは私、取り外してカーテンにしたりしちゃいましたが。
ミスを見つけたらどんどん直してもらった方が後々いいですよ。
泣かせない程度にビシバシとね。(笑)
飴少しと鞭たくさんの交互で。。
すず URL 2008/01/15(Tue)14:19:13 edit
無題
(返事が遅くなりました)
連絡ミスなのでしょうねー。工場生産の住宅ならそういうこともないのでしょうが・・・。
でも、危険をもたらすような部分ではないので、よかったのかもしれません。

弟さん、あのKですか?有名なところじゃないですかー。すごいね。
現場監督と聞くと「あちゃー気分を害したかな?」と思ったけど(苦笑)、弟さんはちゃんとした現場監督なのでしょう♪

大工さんの言うには、家は三軒建ててやっと思い通りのものができるのだ、とか。
俺も住んでみてまた、いろいろと不満が出てくるのだろうなと思っています。
アイディア豊富なすずさんのように、工夫しなくてはね。

根がサディストな所為か、鞭ばかりが多くなってしまう俺ですよ・・・。
はる 2008/01/19(Sat)14:39:23 edit
最新コメント
しゃぼん玉さんへ・2 ---はる(03/09) 
無題 ---しゃぼん玉(03/08) 
しゃぼん玉さんへ ---はる(03/07) 
無題 ---ハルミラへ(03/07) 
無題 ---しゃぼん玉(03/06) 
プロフィール
HN:
はる
HP:
性別:
男性
忍者ブログ [PR]

photo byAnghel. 
◎ Template by hanamaru.