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夫婦の日常と こころの中のこと
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母や父のこと。
愚かしくも、俺が何をしているかも知らず行ってきたことだ。自分がしたいように、もっとあざとい表現をすれば、自分が楽しいようにと、よく考えもせずにしてきたことだ。
仕方ないことだと思っていた。

剣道の稽古に行くのが嫌で。盛夏の、早くも照りつけ始めた日差しの下、遠くの武道館まで歩くのが億劫で。幼く愚かだった俺は、父に嘘をついて稽古をさぼった。
いくらかばつの悪い気持ちで、こっそり見送った父の背中が、最後の姿であった。
胸の悪い母。三本の冠動脈は石灰化が進んでいた。かろうじて二本にバイパスを繋げられたが、その後も母の様子はあまり良さ気に見えなかった。
仕事にかまけて顔を見せることも間遠な息子であった。電話で話したのが最後だった。
せめて胸を張って、父の死に顔が見れるようであったなら。
もっと母の繰言を聞いてやれていたなら。優しい言葉の一つでもかけていたなら。
どんなによかったことだろう。いや、してもしたりなかっただろう。
両親のことを想うと、とても切ない。


ひとの死亡率は100%だ。
しかし、ひとは普段、自分やちかしい人の死に思いを至らせない。それらのひとは死なない、とでも思っているかのようだ。
取り返しのつかない頃になって初めて、かけがえのなさがわかる。
父のいた家の、厳しくも安心感のあるようす。母のいた家の、温かい懐かしい匂い。親子の手触りが、確かにそこにあったのに。
今は俺の胸の底に、親子の記憶と凝り固まって、とんぼり横たわっているのみである。

親の傍で暮らしている人が羨ましい。孝行をしている人なら、尚更羨ましい。
叶わぬことばかり羨むのは罪だという。そう知っていても、羨みが止むことはない。


切なさ、慕わしさ、、後悔、渇望感。両親に対するそれらを昇華させ得るのは、妻と娘に捧ぐ愛情しかないのかもしれない。
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