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夫婦の日常と こころの中のこと
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関東は大雪らしいが、こちらには積雪はない。
柔らかな冬の陽が揺れる。

中国の冷凍食品が大問題である。
我が家には当の冷凍餃子はない。ただ、怪しいものが一点あった。
ばら売りされていた冷凍ロールキャベツである。中身だけでの販売であったから、出所がわからない。
気持ち悪いから、捨てた。
しばらく冷凍食品は利用できない、と妻と話し合った。


去年は、産地偽装だとか賞味期限改竄だとかで騒がしかった。マスコミが事細かに騒ぐに従って、辟易しだした俺であった。
結局誰か、腹壊したんか?という気になったからだ。
今回は、腹壊すどころか、命の危険が伴っておるわけだが。

地産地消だとか、顔の見える食材だとか言うようになって久しい。冷凍食品、それも輸入のものなどは、顔の見えない食品の筆頭になるだろう。
便利さだけを追い求めるのが、時代の潮流に甚だしく反していることが、明らかになってきたと思われる。

我が家は冷凍ものを多用する家庭ではないと思っている。
それでも、これからはよくよく、地のものを食し、季節のものを楽しむようでありたい。
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暖かい晴天の一日であった。

かねてからの約束どおり、家財道具の見物に出かけた。
家具屋から。
俺たちは立派な家具をほとんど持っていない。
それというのも、ワンルーム、といえば聞こえがいいが、ちょっと良いめの下宿アパートのような部屋から、結婚生活を始めた我々であるからだ。いわゆる婚礼家具は持っていない。その都度、経済状況と相談して、家具を増やしていった。それゆえ、我が家には統一感がまるでない。
そこらへんを改善すべく。
ベッドは数年前に新調したばかり。ソファもまだまだ惜しい。
よって、食卓とたんすを買うことに決めていた。


妻に連れられて、店内をぐるぐる廻った。立派な家具は美しい。値段もまたすばらしい。
食卓はどっしりしたものがいいと思っていた。一枚板の木目の美しいテーブルセットが気に入った。椅子の重いのが、妻の気になったようであったが。食事中に椅子をがたつかせるのは良い感じがしないからいいんじゃないか、と意見の一致を見た。

たんすはウォークインクローゼットの空きスペースに入れるもの。長く使えるものをという妻の意見を尊重した。
すると、婚礼家具の半端もののような商品を勧められた。重厚なつくりで、美しい飾り彫りのされた高そうな商品であった。
俺はひるんだ。
造りのよいたんす特有の、ぽこぽこ浮き出す引き出しに感心しながら、妻が俺の顔色を伺っていた。
なんだか、妻の嫁入り道具を夫である俺自らが揃えてやるような、変な感覚が湧いてきた。
半端商品ということで、格安にしてもらえるようだった。

あとは電話台と陶器の傘立てを選んだ。
家具屋の店員に引越しの事情を話して、取り置いてもらう。

それから、電器屋。
こちらは検討材料を入手するのみ。洗濯乾燥機と、テレビのカタログをもらって帰った。
妻と娘は生き生きしておった。俺は生気を失いつつあった。


本日だけでも大枚の買い物である。ま、無駄なものは買っていないだろう。
俺の財力もいつまで続くものやら。これからが思いやられる。
いや、続かせねばならんのか。
しっかり働かねばならん。
さらさらの粉雪の積もった朝であった。終日雪模様。

夜更けに帰宅。
まだ暖かさの残る部屋に、家族の息遣いを感じる。
暖かすぎる寝室で寝入ったばかりの妻の、むき出しになった太腿をそっと撫でてみた。ぴくりとして、きゅっと脚を閉じた。かわいらしい。
振り返ってむっくりと身を起こし
「ごめん。寝てたー」とぼんやり言い
「冷たい手ー」と言った。
寝込んでいた妻の手は暖かい。風呂上りにもかかわらず、俺の指先は冷たかった。なかなかに凍えは融けない。
指先を融かして。その代わりに、奥歯の凍るような口付けがしたくなった。
晴れた冬の夜は凍てついていて。星の青さが冴え渡って。部屋の温みを際立たせるようだった。
俺たちは、静かな長い会話を交わした。

土曜日は家電と家具を見に行くことにした。
(後付)
どんより曇った空から、雪が降り始めた。ちらちらと風に吹かれて舞い降りる。
終日、降ったり止んだりしていた。

俺は38歳になった。
娘の誕生日が近いから、一緒に祝いをしてくれるそうだ。この歳になれば、祝いも気恥ずかしいが。祝ってくれるというならば、ありがたく祝われておこうと思う。
妻が、何か欲しいものはあるか、と訊く。何もない。
「何もないのー?」と残念そうに言っていた。
何事もなく、平穏に、日々を送れることは、幸せなことだと思う。俺の一番の望みはそれである。満たされている以上、何も欲しいものはない。
何も欲しいものがないことが、俺の欲することである。そう言ったら、妻は理解できるだろうか。
朝の慌しい時間に、それを説明するのは困難であった。
友達から、誕生日おめでとう、とメールをもらい、嬉しかった。
降り積もった雪の量に驚く。昔なら驚きもしなかったのだろうが、雪の少ない例年に珍しい積もり具合であった。
牡丹雪の向こうに太陽の透ける、美しい朝。
降りしきっているのに、雪の音はない。ただただ、天から舞い降り、積もりゆくのみ。

朝一番で通院。
仕事に追われるようであった今週。落ち込むことはなかった。
しかし、何だか人の話す声、というか談笑している賑やかな様子が、俺の神経に触るようであった。「何がそんなに面白いんだよ?!」という感じで、イライラするのである。
多分、疲れが溜まってきているからなのだろう。イラつきながらも我慢はできる。我慢がいけないのだ、という気もするが・・・。さほど辛い我慢でもない。
世の中なぞ我慢の連続ゆえ、捕らわれすぎないように自重したい。

その後職場へ。dutyではないのだが、一応。
天候の所為でもなかろうが、俺のところの店は暇そうであった。一部、てんやわんやの部署もあり、対照的である。
久しぶりに藤に会った。苦手な同僚とペアを組まされて、機嫌が悪そうであった。諸事情により、あれもいろいろと苦労の耐えないことである。
くりんちゃんと今後のことなど相談した。
一巡り仕事して帰宅。


家具など見に行く予定をあいまいに約束していたが、寒いから延期。理由がだらけている。
こたつにずり込み、娘のお絵かき遊びの相手などした。彼女は描画が左利きゆえ、一枚の紙で一緒に遊びやすい。
それにしても、ようしゃべる娘である。無口な親の分まで子供がしゃべるとは、よく言ったものだ。
「○○するか。××するか」と、行動の動機付けに頻繁に言う。それは、妻の言によれば、俺の口ぶりだとか。俺はそんな風に独り言ちていたか。
日常主に接しているのは妻だというのに、変なところが似るのだなあ。可笑しかった。
更新に間が空いた。日記というより週記である。
ちょっと仕事が忙しかった。

昨日からの本格的な冬。
今日は一段と底冷えがして、粉雪の吹きつける一日であった。
世知辛い世の中と相まって、余計寒さを感じる。


天神講だという。ここいらではカレイの丸焼きを食べる風習がある。天神さまにあやかって賢くなるよう、子供に食べさせるのだそうだ。
今晩は子供と食卓を囲むことはできなかったが、夜更けの食卓には俺の分の魚も残されていた。今更、知恵のつくものでもない。
俺の帰宅に起き出してくれた妻に相手をしてもらい、天神講の食卓を楽しんだ。話題は家の話と、奇妙な狂言師の話などであったか。

気持ち知恵のついたところで、次の勉強会の準備を少し。
休みの昼間にすればいいと思うが、平日の夜中の方が捗るように感じるのだ。仕事帰りの勢いでしてしまう。
音もなく、雪の降り積もる夜であった。静かでよう捗った。
寒かった。早朝の道は凍みていた。ばりばりと足音の鳴る。
街路樹の着雪が、白い花の咲いたよう。墨絵の街はストイックな美しさに満ちている。


昨夜から、俺は腹具合が優れない。
朝食の用意されているのを見ても、食欲がどうも湧かなかった。
妻のぱくつくのを眺めながら、味噌汁を一口すすったが酷く不味く感じられた。気合で飯を食っておいた。
今週は仕事が忙しかったので、疲れが出たのだろうか。
体調の悪さを妻に見止められて「大丈夫?」と声を掛けられるも、仕事を休む習慣はないのだ。それは妻も知っていること。気合で出勤。

暖かいお茶を薄めに入れてもらい、口の悪さを誤魔化してみた。しかし、商談が大変苦痛であった。
くりんちゃんに「何か食べた方がいいですよ?」と忠告され、昼飯に行ったが、食べ物の匂いに圧倒され退却。
事務所でしばらく横になるが、だるさは変わらなかった。
こういうときに限って、先輩がチーズあじカールを食後のおやつに食べていたりするのだ。強烈な発酵臭が俺を襲った。吐きそうになった。
「カールってさー、口の中の水分根こそぎ持っていくよなー。歯の裏に張り付くし、あかんやろー」と先輩が話しかけてきた。
独り言かもしらんが、俺には付き合う余裕はない。「なら食うなや」と心の中で思った。

午後の勤務も地獄であった。
腹の異様な張りと嘔気。イレウス?←嘘w
風邪であろうと自ら診断した。というか、診断を待つまでもない。
高熱が出た方が案外楽なものである。
気合で働いていたら、退勤間際になって少し楽になってきた。詐病みたいだ。


寒風にコートの裾をはためかせ、背を丸めて、風邪引きの俺が帰る。凍った足元がぱりぱり鳴った。
星がついて来た。
非常に冷えた夜だった。
冬枯れの昨日とはがらりと変わって、一面の銀世界の朝。
気持ちの引き締まること。俺の季節が来た。


娘が腹具合を壊している。機嫌は良いのだが、食が進まないようだ。熱はなし。
便の状態をみるに、ウイルス性の胃腸炎のようだ。世間で流行っているやつだと思われる。
足元の悪い中、わざわざ病院に連れて行くほどの状態ではない。手持ちの薬があるからそれを飲ませておけばいいと指示して、出勤。

けれど、妻はやはり小児科に連れて行った。手持ちと同じ薬を出されて帰ってきた。
何をしに行っているのか、と思う。処方薬コレクターかね?
掛かりつけの小児科医の説明の丁寧なところが、妻の気に入っているらしい。娘もシールをもらえて喜ぶらしいし。
俺の説明では気に入らんのかしらん。屈辱的。いや、可愛いシールを持っていないからだろう。

娘の食べ残したおじやとカレイの煮つけで軽く夕食。俺も何だか具合が良くないし、ちょうどよかった。


終日雪の降る。六角形の結晶が窓に張り付いては、溶けていく。儚い美しさ。
階下に下りて、検分の続きをする。

まず台所。
カウンターの木部の継ぎ目に凹凸があることを指摘。これは純粋なる大工仕事の不手際で、大工さんが恐縮しておった。大工さんにはよくしてもらっているし、難しい家を根気良く作ってくれたことに感謝しているゆえ、俺はかえって申し訳ないくらいであった。
システムキッチンのL字に曲がっているところの処理が甘いのも指摘しておいた。
キッチンセットとカップボードの色は、見本で見た段階では派手な色合いに感じたが、実際見るとちょうど良かった。明るい木目の色にしたのは俺の趣味だったが、カラフルなものよりも飽きが来なくていいだろう。
対面式のキッチンで、これで妻はひっそりと一人で家事をすることがなくなる。家族と会話を楽しみながら、料理をしたり片づけをしたりできるわけである。
妻はそれを一番楽しみにしているといってもよい。カウンター越しに手の届くこと、俺も都合がいい。

便所、風呂場と脱衣場。ここでも問題発生。
便所と脱衣場の床はクッションフロアとなっていたのに、フローリングである。脱衣場の天井も板張り。話と違う。
脱衣場の板張り天井は、温泉みたいで、その方がいいのだが。変えるなら変えるで、言ってほしい。
「すみません、ミスでして」と監督が言う。俺はムカッとした。
営業担当者が代わって、クッションフロアは結構傷みが来て早いうちに張替え必要になることがあるのだ、と教えてくれた。水周りであるが、フロア張りの劣化は心配ないのだとか。
信用していいのか悩むところだが、雰囲気のいいのは板張りの方ゆえ、我慢した。
脱衣場のクローゼットの中に、大工さんが好意で、棚を切ってくれてあった。本当にこの大工さんには世話になることだ、と感謝することである。
風呂場は既製品ゆえ問題などない。ドーム型の天井にしたことで広々として見えた。マンションの浴槽とはずっと広いゆえ、3人で入っても(娘の小さい間は)くつろげるだろうと思う。

それから、家事室。洗濯機置き場となる。ここにも大工さんの好意で小さな収納が作られてある。買い置きの洗剤などをストックしておいてください、とのことである。ありがたし。
ここで、俺は大変なことを発見した。
家事室につながって、食品庫というのか、納屋のようなものがある。そこで俺は沢庵を作るつもりなのだが。
もとい。その扉がまたまた仕様と違っていた。居室用の大きな扉がついているのだった。
それを指摘した。誰も気づいていないようだった。また重大性にも気づいていないようだった。
重大性とは、こんなでかい扉があったら洗濯機を置けないということ、である。
説明しても監督は「はあ・・・」とわかりが悪い。
巻尺を分捕って、洗濯機スペースの尺を測って見せてやった。
「こんな小さい洗濯機ありますか?」と。
ぐずぐずしている監督に、俺はイラついた。
「洗濯機置けても、ドアの開閉できませんね?」と、念押しをした。
先に大工さんが「すみません」と言いかけた.。それまで数々のミスを飲み込んでいた俺は完全に切れた。

大工さんはいいのだ。監督が問題なのだ。
今までの工事の遅れは、造りの複雑さもあるだろうが多くは、材料の手配がうまくいっていなかったからなのだ。おまけに、現場で監督に会ったこともない。毎日のように工事を眺めに行っていた妻でさえ、監督に会ったことはほとんどない。会ったとしても、短い時間しか現場におらんかったと聞いていた。
沢山の現場を抱えていたのかもしれないが・・・それを差し引いても、名前だけの現場監督である。仕事ができていない。

建築会社の人間たちは、俺の家庭では妻が実権を握っているもの、と思っていたのかもしれない。俺は金だけ出す人だとでも思っていたのかもしれん。
先ほどまでの彼らの態度も、気位の高い俺をイラつかせていたのだ。短気な俺にいつまでも我慢させられるわけがないのだ。
「よきにはからえ」の人だと思いこんでいた相手が、吼えだしたゆえ、余計におっかなかったのかもしれん。

監督と営業と設計士がかわるがわる謝ったが、俺は気が治まらん。
彼らの「ミス・・・」と言いかける様子が、火に油を注ぐ。
「ミス」という言葉を水戸黄門の印籠だとでも思っているのか。「ミス」で済んだら、こんなに楽なことはない。
「ありえないミス」だとか言うが、あったんだから。何をかいわんや、である。
「至急やり直します」というが、当たり前だ。

俺が監督の仕事ぶりを評価するのも僭越かもしれないが、この際ゆえ言った。思ったとおり言うのはさすがに手厳しすぎるかと思ったので、ソフトな物言いに努めたつもりだ。
批判を一身に受ける形になってしまった監督はうつむいてしまった。涙ぐんでいた。

まったく・・・男の涙は見苦しい、と知らんのか。美しい男の涙は高校球児の涙だけなんだよー。
俺は職場で泣くやつは嫌いなのだ、それも客の前で泣いてどうする。泣かれた客の身にもなりたまえ、である。
情に訴えかけるつもりか?、とすら感じる。
甘えるんじゃねーよ。

「いったいいくつミスがあったと思うのです?」
「しっかりメモは取りましたか?」
「安くない金額の長いローンをこれから払うのですから、気持ちよくしたいものですね」
営業と設計士と、世話になった大工さんの手前もあり、そこまでにしておいた。なにより娘が「オトーチャン、オコラントイテヤー!」と言い、妻も無言になってしまったから。

「どうも、申し訳ありませんでしたー!」と建築会社の面々に見送られた。
歩きがてらに、妻から「先生、怖かったよ?泣いてたやんかー」と責められた。
不手際の業者に優しくする必要などないではないか。俺は誰にでも優しいわけでも、「よきにはからえ」の人でもないのだ。
優しいのは妻に対してだけ、ということで♪


夕方、現場監督が上司と共に、改めての謝罪に訪れた。
「大変お怒りのことと思いますが・・・」と言われたところでねー。その時には、ちゃんとしてくれればいいよ、と気持ちも和らいでいた。
だが、「ミスが重なりまして・・・」と言い始めたのに至って、再燃。
俺はミスなど許されない環境で働いている。ミスがひとつでアウトだ。重なるとは何だ。
「ミスミスって・・・気楽な稼業ですなー」とぽろりと出た。刺すような厭味。
さすがに上司氏は老獪で、場が凍りつくことはなかったが。妻が凍り付いておったわい。


それにしても、友達が住宅関係の業者とやり合った話など聞いてはおったが、俺にも同じようなことが降りかかったか、と感慨深い。がんがん言いまくったあたりも似ており、苦笑することしきりであった。
俺の、血と涙と汗に塗れて掴み取った、怨念と呪詛と儚い希望のこもった金を、大量に取ろうというのだから、これくらいのことは言ってもいいのではないかと思われる。
如何?
朝一番で通院。
調子もまずまずを維持していること、かねてから懸念の物忘れと動悸の改善を狙って、減薬の提案をした。
俺はたまにお医者さんに嘘をつくので、主治医にとっては即答しにくいのかもしれない。俺の表情をじっとさぐり、考え込んでおった。
こういうときのお医者さんの視線って嫌なものである。感情を映さぬ冷たい、無機質とも言える眼差しが、嫌な感じある。
だが、嘘は言っておらん。年明けから本当に、本当に、憑き物が落ちたように楽になったのである。
お医者さんとにらめっこ。負けるわけにはいかん。俺は目をそらさなかった。
結局、Amoxanのでかいのを一個減らされた。
わずらわしい動悸と、腹立たしい物忘れから解放されるかと思うだけで、気分が明るくなるというもの。
眠剤がなくなるのを補充してもらい、寄り道せず帰宅。

昼から、予定していた家の検査(?)。
我が家は家族3人総出である。建設会社は、設計士と現場監督、大工、営業担当者の面々である。
大工仕事のほぼ終わった家は、入るなりヒノキの香りも清々しい。内装はまだなので無色の印象があるが、「俺の家だ!」という感動もひとしお。何もないところから、これだけのものを作り上げた人たちに感激することであった。
玄関から見て廻る。既知の玄関の敷石について、説明を受ける。桃色の大理石は優しい色で、もとの赤い大理石にしなくて正解だったと思った。妻も「この方が可愛い(色)やねー」と満足そうであった。
そこから続く広い廊下。営業担当者の「旦那さんのところは狭い廊下ないですから」という褒め言葉も、俺の優越感を刺激する。廊下は堂々と歩みたいもの。体を斜にしてすれ違うなど、貧乏臭いことはしたくない。よしよし。
和室の造作も問題ない。大工自らが市場に出向いて選んでくれた床柱の、滑らかな手触りを確かめてみた。「俺の家」という実感が強くなる。
それから、俺の書斎となる二間続きの洋間。無垢の腰板が張られており、木の香りがひときわ強い。
ところが問題発生。二間のうち本を収納するための部屋にはクローゼットは作らないはずだったのに、ある。指摘したが、今更撤去というわけにもいかないようだ。
収納は多い方がいいと、何だか丸め込まれてしまった。妻も、俺は散らかすからなどと言う。それもそうなのだが、何となく違和感。
後はリビングをずらっと見る。ここも無垢の腰板を張ってあり、南向きの明るい部屋である。梁を見せた天井は高い。雰囲気がよく、くつろげる居間になるだろうと思う。満足。
ソファを置く場所、テレビを置く場所など、妻としばらく話し合い、現実化する夢を楽しんだ。
水周りは素通りして、二階へ誘導された。台所などは妻がいろいろと難癖をつけそうだからだろうか。長話となる場所は後回しか。

リビング階段にしたのはやはりよかった。家の真ん中に階段があるのは、家相としては良くないと教えてくれるひともいたのだが。子供部屋が二階である以上、階段は誰かと顔を合わせるような場所にあったほしいのだ。
階段も踊り場も、思ったよりもずっと広く取られており、安全性からも上々である。小さな娘もトントンと楽に上がれる。

主寝室にはクローゼットとは別に、ウォークインクローゼットを設けてある。ウォークインの方には妻が大工さんと相談して、棚を沢山作ってもらってある。機能的である。収納については妻の希望通りで、俺には文句の付けようもない。
また、窓際に小上がりの小さな畳コーナーを作ってあるのだが、そこからの眺めが秀逸であった。そこに文机を置いてもらえたら、俺の定位置になりそうであったが、妻が言うには「そこは冬場にコタツでもするの」ということである。娘の幼いうちは、布団を敷いて一緒に寝るためのスペースに活用できそうである。
そして、南側に子供部屋ひとつ。三方に窓があり、明るい。階下のクローゼットより広いものが設置されており、何かとものの多くなりがちな子供向けの仕様なのだろう。

もうひとつ北側に居室。当初妻が要らないといった第二番目の子供部屋である。客間か、物置か、妻の居室として使えばいいではないかと作ったものである。
南側の子供部屋よりこころもち広い。ここが問題の勾配天井の部屋なのである。
建築会社の方から、変更になったことをわびて説明を始めてくれた。
勾配天井といっても、あるかなきかの勾配である。言われれば斜めかな、という感じ。梁見せでなければ、デザイン的にも意味がないように見える。
「構造的に梁見せにはできなくて・・・すみません」と現場監督が言っておった。違和感。
「設計段階でわからなかったのですか?」と俺が尋ねると、少し驚いたようであった。
「こちらのミスで・・・すみません」と答えておった。素直に頭を下げる姿に、俺は違和感を感じた。
責めたところで今更どうにかなるものでもなさそうだし、これはこれでいいのだが・・・。
「これもまた、悪くはないね」と納得しておいた。

少々納得のいかないまま、二階の便所を覗く。
便器が・・・ピンク色であった。アイボリーだったはずだ。
指摘すると、監督は驚いて、青ざめておった。
連絡・手配のミスだそうだ。またもや違和感。
そして、俺はその違和感がどこに発生するのかを悟った。
現場監督は、妻に頭を下げているのである。俺に向かっては、妻に謝った後に軽く頭を下げるのである。
なるほど、俺は今まで家のことは妻に任せっぱなしであったかもしれん。細かい造作のことなど、俺は考えるのが億劫であったのも認める。建築会社との細々した連絡は、妻を介してのことが多かったのも事実だ。
「よきにはからえ」といった感じであったと思う。
が、その態度はねぇんじゃねぇか、現場監督よ? である。
便器の色については妻が「ピンクもいいやん?可愛いしー。ねー先生」たら言うので、俺も「そうか」とだけ言っておいた。別に便器の色くらいは大きな問題ではない。黒だとか、金色だとかいうなら、別だが。
何か・・・嫌な予感がし始めた俺であった。

にわか雨。空は鉛色で重苦しい。

今晩は帰りが遅くなった。妻に遅くなると連絡が入れられなかったので、夕食は外で食べて帰ることにした。
本当は定食屋のようなところが良かったのだが、帰り道から外れるのであった。面倒だった。
よって、ファミレス。
しかも、何を血迷ったか、スパゲッティなどを頼んでしまった。俺には年に数回ほどこういった、不適切な選択をあえてしてしまうことがある。
そう、スパゲッティ・ボロネーゼなど、サラダつきで注文。
注文したはなから、パスタなんか食べたかったかな、と自問する俺であった。特に食べたくはなかったのだが、ファミレスの複雑なメニュー体系の中で、注文の一番楽そうなものだったからである。
退勤後の俺の行動様式はすべからく、面倒かそうでないかに支配されているようだ。
ほどなく料理が到着。出てくるまでの速さがいい。
ただ、チーズの臭いが、普段嗅ぎなれた大手乳業メーカーのものとは違って強烈であり、俺をひるませた。それはまさに腐った乳の臭い。
備え付けの粉チーズを大量に振りかけて、食した。出されたものは全部食うのが、俺の流儀だ。
味自体はまあまあ。レトルトの味に似ておったが、俺は嫌いではない。
それにしても、空腹とはいえ夜更けにこういった濃厚なソースものを食うと、胃の腑が重く感じる。歳であろうか。


家に帰ると、妻が寝室から顔を出した。起きていてくれたようだ。
帰宅の連絡をしなかったことと、外食してきたことを、妻に軽くわびた。

明日の家の検査(?)について、しばらく妻と話す。
仕様変更になった箇所について、妻が訊いてくれていた。
玄関の大理石が、指定した赤のものが生産中止に伴い数が揃わず、桃色のものになったらしいこと。梁見せ勾配天井の設計だった居室のひとつが、構造上の問題から、梁見せにはできなかったこと。
その二点だが、俺は後者のことは大工に聞いて知っていた。
取り立てて騒ぐほどのことではない。変更と聞いて、多少の不安を感じていたのが氷解した。

いよいよだなあ、と楽しみである。これまでが長かった。
妻ももちろん、楽しみにしているようである。
二人、さまざまに夢が膨らむ。

昨日と同じく、春めいた暖かい一日。
柔らかな青空が広がった。

泊り仕事などあり、多忙であった。
久しぶりであったので早めに休んで、ダウンしないように留意したつもりである。とはいっても、年末にもやむをえず徹夜仕事をしておったことを思い出す。
案外、大丈夫なものである。


妻が入園式に着るとて取り寄せたスーツの試着会に、無理やり参加させられる。
通販で頼んだらしいのだが、3着もある。
「どれがいい?」とか着て見せてくれるのだが、判断に困る俺である。
通販と聞いた所為かもしれないが、どれも安っぽく見えた。
妻が言うには、店に見に行く余裕がないし、安いし、通販の方がいいのだ、とのことである。
オーソドックスなモノクロのスーツがいいのではないか、と勧めておいた。妻はその品が一番高価なのだと渋っていたが、値段は驚くほど安い。値段を知ると、ますます安っぽく見える。
式服などはさして着る機会がないから、それで充分なのだとか、妻は言う。
そんなものかなー。

俺の意見を聞いた後も、妻は何度も着たり脱いだりを繰り返しておった。
「おっぱいが大きくなったからー上はいいんやけどー。おしりがちょっとワサワサするー」とか言っておった。
モノは言い様である。おっぱいが大きくなっただけとは、俺には思えんぞ。
肥えた分を戻していないだけと、見受けられる。
真面目にビリーと運動しないからだ、と俺は思った。思っただけである。夫婦の平和のため、口には出さない。

結局、俺の勧めたスーツに決めて、残りは返品。迷惑な客かもしれない。

通販の荷物が来たことに関連して。
配達員の変な事件が起こったそうだ。
妻は若いときから男の配達員がいやだと言って、俺を失笑させたものだった。妻の過剰な心配が現実となる世の中になったかと、暗澹たる気持ちがする。
今日の荷物を受け取るとき怖かったのではないか、と訊くと「あー、何も思わんかったわー」と。
事件報道を聞いても、自分の身に起こるとはなかなか思えないものだ、と言っていた。
ますます物騒な世の中であるからして、注意せねばならん。


大工仕事がそろそろ終わるとのこと。建築会社の人たちと、一度見て廻ることになるそうだ。土曜日はどうかというから、時間を押さえておく。
妻によれば、仕様の一部変更になったところもあるから、とのことである。

曇り。年末の雪もすっかり無くなった。寒さの続かぬ冬である。

どんより曇っていたこと、活動しようという気持ちになれない。
午前中職場を覗きに行って仕事をしたが、帰宅後は何もする気になれなかった。妻子がどこかへ行こうと誘うが、断った。
妻は文句を言いたげであった。
文句を言っても動かないから、文句を言ってくれても構わない、と言い放った。
妻は呆れておった。

妻が娘を連れて出かけるのかなと思っていたのだが、それはなく。
いい時間であったので、俺は娘と昼寝をした。父娘が寝入っている間に、妻はイソイソ家事をしていたようである。

夕方、夕食をつくる妻を眺めながら、食卓で勉強。負い目か。ずっと一人で家事をしている妻に気を使った、ともいう。
娘も食卓で、アンパンマンのパズルをしておった。ピースが一つなくなっておるやつだ。娘は気にしていないようだが、メロンパンナの顔の部分ゆえ、俺はたいそう気になる。

夕食後に食ったいちごが大変美味であった。大きくて甘い。熊本産・幸の香とラベルにあった。なるほど幸せの香りをもたらす旨さであった。
一人頭、三個しか当たらないのが惜しい。
もっと買っておいてくれ、と妻に注文をつけた。「もうちょっとほしいくらいが、ちょうどいいのだ」と妻にたしなめられた。

夕食後もごろごろと、こたつで転寝をしておった。今日は寝てばかりである。
明日から厳しい勤務がまた、始まるゆえ。自分に許した贅沢である。

2008年の始まり。
今年は何が俺に起こるのだろうか?
俺の目標は、まず持病を克服すること。そう思えること自体、楽になってきているのだと思う。
そして、ひとに優しくすること。ひとの善意を信じれるようになりたい。
何だか、漠然としているが・・・。そんなところである。
あまり大きな目標は立てない。というか、俺にとっては大きな目標であるな。

31日まで仕事であったが、とくに忙しかったわけではない。
帰宅してすぐ飲酒を始めてしまったので、宵にはすっかり酔っ払ってしまい、何もなさなかっただけである。
テレビの前で、酒を片手に寝そべって動かない・・・そんなだらけた姿をさらしていた。俺は本来ぐうたらな男であるからして、極楽気分であった。妻もたまのこととて、許してくれたし。
年明けの瞬間には、友達数人にメール。混雑しているとか言っていたが、すっと送れたし返事もすぐ来た。数年前の携帯事情よりもずっと進歩したもようである。
隠れて喫煙する友達を想って、堂々と煙草を吸う年明けであった。


朝は遅めの起床。
妻子と共に迎える元旦の喜び。気持ちがきりりとする、寒い雪の元旦。俺の望みとするところである。
おせち料理をつまみながら、また酒を飲んだ。「こんなに飲んでいいのだろうか?」とちらっと思った。
おせち料理は大成功の部類であった。本の通りに作ったのが良かったのだろう。
写真をUPしようかと思ったが、他所のHPを見ると、とてもUPできない。内容だけ公開。

一の重:黒豆・田つくり・厚焼き玉子・かまぼこ・金平ゴボウ
二の重:ぶりの照り焼き・豚の角煮・鶏ののし焼き・焼きなます
三の重:煮しめ・くわい・ゆりね・たけのこいも

といったところだ。
俺の母の教え通りの黒豆がことのほか、美味であった。焼きなますなど、酸味がまろやかな所為か、娘がいくらでも食べた。
お重に詰めた分はすっかりなくなって、妻を喜ばせた。


雪の止んだ昼ごろに初詣。娘がまだ小さいから、近くの神社へ歩いて詣でた。
白い息を吐きながら、3人手を繋いで、降り積もった雪をさくさく踏みしめて。
拝殿に三つの頭を並べて、拍手を打つ。
俺は「家族の健康と幸福」を祈った。
妻は「俺の病気平癒と娘の健やかな成長」。
娘は「赤ちゃんになりたい」だそうだ。??

それから、建築中の新居を一回りして眺めて、帰った。


テレビ番組も珍しいものはなにもない。
俺は普段テレビを見ないので、芸能人などさっぱりわからないし。妻子の見るのを一緒に眺めているうちに居眠ってしまった。妻に揺り起こされて、驚いて目覚める。妻に笑われた。
餅腹のこと腹も減らず、レタス半個かじりながら、酒。
何事も問題の起こらぬ、落ち着いた正月であった。


外はまた雪だ。白い雪が闇から次々に現れては、舞い落ちる。

肌寒い。氷雨はやがてみぞれに変わった。
昼前には雪になり、うっすらと積もっていた。
暖かい冬に慣れていた身に、突然の雪がしみる。ひどく寒く感じた。

今日は日直。
日曜日だということも忘れていた、大歳である。世の中はどこも慌しい。
帰宅すると、妻は正月の料理の支度に忙しくしていた。煮しめ、焼きなます、黒豆など作っておった。
昨日通院のついでに覗いたデパートでは売っていなかったたけのこいもであったが、妻が近所の小さな八百屋で見つけてきた。
たけのこいもの面取りが下手くそで、少し割れて煮えておった。それも妻の手料理の風味ということで。よしよし。
妻の邪魔をしないように、娘と遊ぶ大歳の夕べである。

今年は・・・来年は・・・と思い浮かべて見て、それは明日の大晦日の仕事と中断す。

雷とともに、大粒のあられ。本格的に荒れてきた。

昨日までとうって変わって寒くなった。終日、雨。
正月寒波が来るというのは本当らしい。天気予報では年明けから、ずっと雪マークだ。そうでなくても、大気の中に雪の気配のする一日であった。

パキスタンのブット元首相が暗殺されたと聞く。イスラムの国で初めて女性首相になった彼女。才色兼備のひとであった。闘う強いひとであった。自爆テロという方法に寄る死が、双方ともに残念である。


店は明日も営業しているが、俺は一応今日でおしまい。一日休んでまた勤務というのが、虚しさを湧き起こすのだが。
押し迫りの最後ということで、商談のお客も少ない。楽チンであった。

夕方、取引先の人が来て勉強会。眠い内容であった。
場内が暗くなったのをいいことに、仮眠を取る人続出。
いつも真摯な先輩でさえ、「出なあかんのか、これ?つまらんよなー」と俺に囁きかけてきた。
出て行きたかったが、席が前の方だったので、こっそり退出もできなかった。
質疑応答の場面になっても、誰もが無言。おそらくみな、苦虫を噛み潰したような表情であったに違いない。
暇をもてあました先輩が俺にまた囁く。「何か、質問ないんか?」
真摯な先輩は質問をせねば失礼だと考えたようであった。残念ながら俺には訊きたいことがなかった。
「考え中です」と瞑目しながら、腕組みして答えておいた。小学生の、とっさの誤魔化しみたいな答え方である。


帰宅後、妻からまた、買い物での娘の困り話。予想していた事態である。
カートに大人しく座っていない娘。乾物売り場に関心がなく、別な売り場に母親を誘導しようとする娘。突然おしっこがしたくなる娘。などなど。
買い物はいつもしているはずなのだが、正月前の慌しい雰囲気に反応するのか、思うように買い物をさせてくれないらしい。
困ったねー。

たけのこいもが売っていなかったとかで、明日の通院の際に、デパートの地下食品売り場で探して見て、と妻に頼まれた。
いもだけ買いに男一人でデパ地下は、恥ずかしいなと思う。
しかし、たけのこいもの粘っっとした食感は捨てがたい。
売っているといいなー。
晴れ。雲ひとつない。
ごく押し迫った時期は、どうしたわけか冬とは思えない晴れ間の覗く天気になることが多い。迎春準備に良いようにという、天の配慮なのだろうか。
今日も、飛行機雲の短く尾を引く、青空の一日であった。

年末年始に掛けては予定の現場もなく、粛々とした進行である。今年は暦があまり良くないようだが、俺には関係がない。30・31日と勤務である。正月くらい静かでありたい。希望が通ることを祈る。


大事件を起こした張本人もそろそろ目処が付いた。やっとしおらしくなりおった。大人しくなればなったで物足りない気持ちがする。俺は天邪鬼である。
俺の言うことをきいて不良な行いを改めるというので、信じてみる気になる。
信じて裏切られたことなど考えない。俺が信じなければ、誰が信じると言うのだ。

夕刻、ひとを送った。
ずいぶん頑張った。自分の言ったことを覆したかったのかもしれない。
俺をよう見てくれたひとであったが、俺も返してあげられたのだろうか。
何もすることもなくなって、ただ顔を覗き一言二言言葉を掛けるだけであったが。
もう言葉も珍しいものはない。ただ「よう頑張りました」と小さく労うだけだ。


9時前に帰宅。早く帰れた。
妻は、ぼちぼちと正月の用意を始めた。
風呂の掃除と便所の掃除を丁寧にしたらしいが、娘が邪魔ばかりをして捗らなかった、とおかんむりの様子。
子供におとなしくしておれというのがどだい無理な話なのではあるが。
妻の「もーねー、ちーっとも進まんのやってー」と言うのを聞いていると、ちーっとも困ってなさそうに聞こえるのが可笑しい。
「うちには散らかし工作員がおるのだから、掃除はそれなりでいいんでないの?」と伝えておいた。
「工作員って先生も入ってるの?」と妻に睨まれた。細かいフレーズにいちいち反応する女だ。
小さい子供がおれば行き届かない部分があってしかるべきなのだから、適当に掃除しておけばいいよ、などとわざわざ言い直しておいた。
「工作員ってのは○○ちゃんだけでー、先生は違うってことやねー」と、妻もわざわざ念押ししてきた。どうしても細かいフレーズに反応したいらしかった。
そこは重要なところではないというのに、トンチンカンな女である。そこはかとなく可笑しい。

大活躍した娘には「ちゃんとお手伝いしなさいね」と軽く言い聞かせておいた。「ふん」とか頷いておったが、理解したかどうかは微妙である。
明日はおせち料理の材料を求めに出るそうだ。餅・黒豆・田つくり・かまぼこ・鰹節・昆布・干し椎茸・たけのこ芋・お菓子・飲み物と、メモ用紙に書き出してあった。俺の要請で「酒」も付け加えてもらった。
娘は明日も活躍しそうである。同じような困り話を聞かされることだろう。


夜更けの路上はぴんと冷えきって、ゆるい風のひとつもない。
黒い帳に星が恐ろしく清かだ。昴の、青白い星明りまできりりと冴えて見える。
あの先から全てが来る。希望と諦観と。
美しく晴れ渡った。日向の窓は暖かかった。
それでもまだ、陽の落ちるのは早く、冬であることを教えられる。


クリスマスイヴもクリスマスも一人で過ごした寂しい男・はるくんでございます。
まるっきり一人ってわけでもねぇんだけど(ニヤリ)。
今日は今日とて、妻が帰ってくるというので、朝から頭が一杯。いあ・・・娘も帰ってくるよ。
朝からというか・・・嘘をつきました・・・夕方ごろから興奮してまいりました。
もとい、夕方から頭が一杯でございましたよ。

面倒な事件が起こりませんように、難しいひとが現れませんように、などと祈るような気持ちで仕事をしておりました。
くそ忙しいときに何故開催するのだと、いつも腹立たしく思っていた委員会にも、上の空で参加いたしました。もちろん心の中は、不毛な論戦が勃発しませんように、流れるような進行で何事もなく終わりますように、であります。
日ごろの良い行いを神様もご照覧くださっていたのでしょう。
何事も難しいことは起こりませんでした。犬猿の仲の人たちも、今日は静かに馴染んでおりました。仲良きことは美しきかな、です。

退勤前に家に電話したら妻が出た。ほっとした。

帰宅途中に、娘に何か買って帰ろうと思いついた。
おもちゃ屋のあいている頃ではなかった。大きめの書店に寄って、シール遊びの絵本を買いました。


嫁さんていいもんですね。
陽が射すと暖かいが、陽のある時間は少ない。雨になったり、雲に覆われたり。くるくると目まぐるしく変わる冬の天候。

仕事が忙しく、週末にかけて忘年会があったが急遽欠席。当初四つ参加予定していたが、このままでは一つだけの参加で終わりそうである。
寂しい気がする。

昨夜ゆず湯に入った。下手な入浴剤を入れるよりずっと、からだが温まったように思った。浴室に立ち込める香りが素晴らしく、気分がリフレッシュした。
今年は、知り合いから沢山ゆずを貰ったので、お湯にも多めに入れた。ゆず味噌も作って楽しもうと思う。妻はめんどくさいなどと言いながらも、湯豆腐にいいからと、イソイソ作っておった。
ゆず湯で温まりすぎた所為ではないだろうが、今朝は酷い寝汗をかいて目が覚めた。ぞくぞくした。軽くシャワーを浴びた。


実家に帰省する妻子を送って、遅めの出勤。
正月に帰省しない分、クリスマスに帰るようにねじ込まれた格好である。
2・3日のことだろう。俺も仕事が混んでいることであるし、寂しいクリスマスを過ごさせなくて済むと考えれば、悪くはない。
ご馳走をたくさん食べて丸くなって帰って来い、と送り出した。

事務所で書き物。当番の女の子のサービスしてくれたコーヒーを飲んでいたら、ドキドキしてきた。
嗚呼、AMIちゃん・・・(はあと)♪ いやいや、AMOの野郎の所為であろう。久しぶりのカフェインに敏感に反応した模様。
胸の高鳴り動悸を抑えつつ、溜まっていたサマリーを書いた。
出勤すればしたで、じっくり座っていられないものだ。手を取られることもあったが、そこそこ捗ったと思う。


来年から、本格的に仕事復帰する予定であるから、音を挙げてはいられない。
雨だ。気が滅入るが、今日の俺は違った。
徹夜明けで、異様なテンション。飲んでおらんのに、一杯引っ掛けてきたような気分であった。

今日は商談予定であったが、諸事情により商談に掛かりきりにはなれない。それほど重要な話もないゆえ、くりんちゃんに少し任せた。そつなくこなす彼女のこと、充分俺の期待に応えてくれた。ありがたし。
昨夜に大事件を起こしたばか者(あえてこう言う)は相変わらず、反省の足らんことである。自分の不手際を棚に上げて、俺を非難する。俺は何度も何度も忠告したはずだ。都合のいいことばかり言って、自分に甘いにもほどがある。
忍びがたきを忍び、怒りが態度や口調に出ないように努めた。
夜はひとを正直にさせるとかで、昨夜は怒り爆発で友達にメールで愚痴り、醜態をさらしてしまったが、日が昇ると理性が戻ってきたもよう。
毎度毎度徒労感に苛まれることだが、それにも慣れた。
ビジネスよ、ビジネス♪
そのような気持ちでございましたよ。

もう一件はまだ小康状態。しかし長くは掛からずに終わりそうな様子である。
何度でも見に行きたい気持ちがあるが、その他の業務に忙殺され、思い通りいかない。


夜更けに帰宅。
妻に年賀状の印刷を頼んでおいたのが、できてきたとか。あて先の印刷も妻がしてくれるというので、住所録の整理だけ俺はすればいい。
ひとこと書き添えたい相手もおるゆえ、投函する前に一度見せてくれるように指示。
年賀状と聞いて、さすがに押し迫ってきたと感じる。

その前にクリスマスなどある。
娘の欲しがっているものは何かについて、妻と話し合い相談をした。ごっこ遊びのおもちゃがいいのではないか、ということになった。
でも、おもちゃはしばらく遊んですぐ飽きてしまうのが難点だ。妻も同じ気持ちらしいが、実用的なものでは夢がないと言う。それもそうか・・・。
娘のことよりも俺にとっての難題は、妻へのクリスマスプレゼントを何にするか、である。何が欲しいと訊いても、教えてくれないのが憎い。
昨日に引き続き冷たい雨。
車のヒーターを高めに設定して出勤する。そうすると暑くなりすぎる。少し下げると急速に冷えてくる。どうにかならんのあろうか。オートマティックのエアコンはいいことばかりではない。昔のダイアル式のヤツの方がずっと融通が利いたように思う。
エアコンの設定温度を上げたり下げたりしているうちに、職場に着いてしまった。無性にいらっときた。


職場に前職の同僚から電話が掛かってきた。ロクな用事でない予感がしたゆえ、出たくなかった。
しかし、二・三回悪さをしたことのある相手なので、邪険にするのもよくないと思い、いやいや出た。
やっぱりロクな用事ではなかった。健康食品の売り込みをしてきた。どこかマルチの香りがした。Aにも相当金をつぎ込んでいた女ゆえ、また引っかかったか。
あほだのーと思いながら、断る口実を考えていた。
「悪いが、俺は青汁を飲んでいるのです。即効はないけど、緑効はあるやつだ。いいぞ」と口からでまかせ。嘘をついた。
形勢逆転。俺に青汁を勧められるかとでも思ったのか、向こうから電話を切ってきた。
思惑通りで、愉快。二度と掛けてくるんじゃねーよ♪


比較的早目の帰宅。娘も風呂前で久しぶりに賑やかな家庭の風景だ。
夕食は終えているはずなのだが、俺の夕食に付き合う娘におかずを分けてやった。結構食べた。
「腹いっぱい食わせたのですか?」と妻に訊いたら
「食べたよー。さっきバナナも食べてた」と答えた。
ちょっとずつ食べさせてもらえるのがいいのだろうが、食いすぎだ。食の太いのは親に似た。細いよりはいい。
今晩は娘と風呂に入ることもできた。甘い香りのする桃色の入浴剤が入っていた。娘の肌も湯の色に染まって、桜色になった。頬にぽっと赤い灯りの付いたよう。
赤い灯、青い灯、道頓堀のー、とうろ覚えの歌を歌いながら、上機嫌の俺であった。
湯上りに待っていた妻に、「先生、本当の年齢いくつなんー?」と笑われた。

37歳なんだが・・・とうとう妻は俺の年齢すら失念したか(爆)。
終日雨。指先を凍らせる冷たい雨。

昨日職場を覗いたおかげで客に捕まってしまったが、面倒な懇談を経て、俺の濡れ衣は晴れた。よしとしよう。
普段一緒に暮らしていない息子などは、コレ幸いにと親孝行のつもりか、老親のトンチンカンな言い分に肩入れして戦おうとする。迷惑だ。冷静な判断をしてほしいものだ。
親孝行のつもりなら普段からもっと親に配慮したまえ、と思う。思ったところで自分の親へのしうちを思い出して、偉そうなことを言うと自嘲が出る。

客からクリスマスカードを貰った。そんなものを送る人ではなかったゆえ、意外であった。
「くれるのですか?」と念押しのような一言を掛けたら
「年賀状は出さないだろうから」と返事が返ってきた。
何となく、俺は言葉を失って、あいまいに礼を言って辞した。
カードには「ありがとう」とサインペンで書かれていた。不覚にも涙が出そうになった。
我慢して、忘れてしまいたいかのようにポケットに押し込んだ。しかし、ポケットが重く感じられ、カードとその人の重さを伝えてくるのだった。
不意にこころに入り込んだ「ありがとう」の言葉が、今も俺を乱す。
書いていて涙が出てきた。

氷雨の降ったり止んだり。止むと雲間から青空が覗く。雪はまだない。

12月もおしてきて、今晩は大河ドラマが最終回だという。最終回は川中島の合戦だそうだから、見た。
故郷の英雄・上杉謙信にひいきなのは言うまでもない。故郷でなくても、俺は武田信玄なんかは嫌いなのだ。強欲で陰謀ばかり巡らせているようないやらしさが、好きになれない。
謙信役の俳優はロックミュージシャンだとか。ひげ面の伝統的な謙信とは別物の、何と美しい謙信か。
賛否両論がありそうな配役だが、今更・・・最終回だよっ!(にしおかすみこ風w)、俺は美形の謙信もアリだと思う。ゲイだったと噂される謙信に似合った妖しさだと思う。

連銭月毛の馬にまたがり、小豆長光の名刀を肩に担いで、戦場を駆け抜けるお虎さまの凛々しさ。
今回のは頭巾はかぶらずであったが、南蛮胴丸がよう似合って、颯爽としておった。

謙信の魅力は、颯爽とした男性美だと思う。私利私欲の戦はせず、義を第一と見なす清々しさ。史実かはともかく、敵陣に一騎で駆け抜き狙う大将に切りかかる姿は、男の美学そのものである。
見ていて元気が出る。
潔く、清々しく。かくありたし。


今日は懸念のたぷちゃんが復活してよかった。心配していたが、ちゃんと活発な日常生活を営んでおったか。
ま、安心した。

朝一で通院。
いろいろとしんどかったことを主治医に話すも、「様子見てみましょう」ということである。鬱病特有の波だと見なされているのだろう。全体を見渡して見ると、ゆり戻しながら気分が上がっていると考えられるのかもしれない。
しかし、俺は納得がいかない。
「様子を・・・」という決まり文句が、突き放されたように感じた。主治医にイラっときた。
主治医と喧嘩をしても仕方ない。黙って、いつもの通りの量の薬を貰って帰る。
その後、歯科へ行く。
大掛かりな治療はない。麻酔が効いているはずなのだが、前歯ゆえかなり響き痛かった。二本処置され開放された。
また半年後に点検である。


帰宅すると、妻は娘と買い物に行ったようで留守であった。
正午間近に帰ってきた。
建築中の家を見に寄り道したらしい。大工仕事もほぼ終わりに近づいている。暮らしを具体的に想像できる様子になった。
懸念の特注品の玄関ドア、俺も先日見物に行ったのだが、思ったよりちゃっちいかった。無垢材を使った見た目はいいのだが、重さが非常に軽いのである。
結構な値段を掛けていると思われるのに、玄関ドアとは実際高価なものなのだなと感じた。今更変えてくれというわけにもいかず、もっとよく考えればよかったと悔やみつついる。
妻も玄関ドアについてはイマイチだと思ったようだが、家のデザインとは合っていると受け入れたそうだ。

妻はインテリアのボードを見て、そのひとつひとつを楽しみにしている。俺にもいろいろと語りかけてくるが、何となく聞き流している観が否めない。
興味がないわけではないが、アレがいいかコレがいいのかと比べて考えるのが億劫とでも言おうか。どれにしようとそうそう変わらないのではないか、と思うのである。
俺のそんな様子を妻は不満に思っている。
「内装のことはお前に任せるよ。いい感じになるようによう考えなさい」と常々言っているが、言うたびに妻は「もー」とふくれるのだった。


朝から雷が鳴る、みぞれ模様の天気であった。
陽の沈んだ後はますます荒れてきた。激しい雷で地鳴りのするほど。大粒のあられも落ちてきた。

氷雨。空は暗い。


勤労意欲は低めだ。いつもそうだから、正常である。
店が忙しかった。初めての人が何人かいた。
うー。初めての人はいやなのん。だって人見知りするんだもん。乙女だから♪
とか言って逃げたい気分であるが、熊のような俺がそんなこと言っても相手にされん。というか、気が狂ったと思われるのがおちだ。何を書いているんだろう・・・。
とにかく、面倒くさかったが、相手をせねばいかん。

初めての人は変な人揃いであった。
何をしに来ましたのか?という人。
事件が起こったときに何故来ないのだろう?と思われる人。
そして、今日のチャンピオンは話すおばさん。亡くなった自分の親の話に始まり、兄弟姉妹の話、近所の人の話、ご縁さんに言われた話まで、とめどなくその口からあふれ出す話の数々。
中断させて本筋に戻そうと努める俺であったが、おばさんには通じない。話は枝葉に分かれ分かれ、ワケがわからなくなった。
おばさんは自分の話をするのに精一杯で、俺の話など聞かんのだった。俺の母親のことなど思い出すにつけ、おばさんとはそういうものなのかもしれないと、改めて思い知った。
おばさんには閉口したゆえ、一号用紙の隅っこに黒丸を付けておいた。俺のささやかなる抵抗のつもりだ。抵抗してもまたおばさんの来襲があるのだから、効力は皆無である。
それにしても、俺の勤労意欲を更に消沈させ、精神をいたぶる面々であったことよ。

職場の忘年会であったが、あまり調子の優れぬこと、ワケを話して不参加にしてもらった。
上司と同じ鍋をつつく不愉快さから逃げたわけではない。いや、逃げたのかもしれん。いやいや、精神衛生上好ましくない状況を回避した、ということにしておこうか。
忘年会に行かない分、職場にしばらく残って書き物を済ませた。居残り組みと談笑しながらで、あまり捗ったとはいえない。


帰宅後、妻に弟の祝いを送ってくれたか確認。
現金書留の料金の高さに驚いた。そうはいっても、振込みでは格好が付かないから仕方ない。
懸念していた妻の複雑な心境は、俺が思うほどでは全くなかった。むしろ親族の慶事を喜んでいる様子。
所詮、他人のことは他人のことと見なしているようだ。妻に健全なこころを与えてくれたことを、神に感謝したい。
今日は忘年会だと伝えてあったから、妻は早めの素面での帰宅をいぶかしんだ。調子が悪いからとは言わないで、家に居る方が好きだからと答えておいた。
みなとわいわい外で飲むのは大好きだから、嘘をついたといえばその通りなのだが。嘘も方便ということで。


明日は雪になるらしい。
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