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夫婦の日常と こころの中のこと
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干した布団が心地よく、目覚めの気分も上々である。
明け方に起床。
寝ぼけ眼であったが、妻もちゃんと自力で起きてきた。
娘は起こしてもなかなか目覚めなかった。朝飯を食っている間も、気づくとこくりと舟を漕ぐような具合である。無理に食べさせることもない。食事は切り上げさせた。
早く起こされて機嫌の悪い娘をなだめながら、身支度をさせて、出発。
外に出ると、東の稜線を赤く染めて、紅の円盤と化した太陽がまさに昇ってくるところであった。
妻は、朝焼けを見るのは久しぶりだと苦笑いしながらも、日の出に見とれた。そして「朝早いのも気持ちいいね」と言った。

陽を見ながら出発したのに、次第に曇ってきた。北や西の空は真っ黒で、速い風に乗って雲が広がってきた。
そのうち雷鳴が始まり、空を稲妻が切り裂く。突然の大粒の雨が、フロントガラスをたたく。
大きな雷とともに、雹まで落ちてきた。
それほど激しい雨はなかったが、天候の変化がめまぐるしかった。
10時まえに実家に到着。
俺と前後して叔父たちもやってきた。


僧侶は時間に少し遅れたが、法要は滞りなく終了。
母が死んで、もうやがて一年とは。

座敷から見る庭には、何株もの牡丹が盛りに花をつけている。赤、白、桃色。
藤も花を咲かせ始めた。つつじも桃色のつぼみを沢山つけている。
あいにく今日の空は曇りであったが、大気の中にわずかに花の香りがした。
母の死んだ日も風の芳しい日であった、と思い出す。強い風の日でもあった。あの風に乗って、母の魂魄はたちまちに天に昇ったことだろうと思ったことが、脳裏によみがえった。
花盛りの、若芽の賑わしい庭を眺めながら、花の好きだった亡き母を想う。
庭木の間にうずくまって、雑草を取っていたこと。
池に落ちた木の葉をかき集めていたこと。
あねさん被りで庭の手入れをしていた母の姿がまぶたに浮かぶ。
世話をしてくれた人がいなくなっても、花は意に介さないのか。いや、その人を偲ぶがゆえに美しく咲くのか。

娘をひざに抱きながら、母は生前ついに、この家では孫娘に対面できなかったことを思いついた。
母にもっと娘をみてほしかったと思ってきたが、「この家で・・・」と思うと、その気持ちは濃くなる。

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